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補助金3779万円を返還請求――東京都、自殺対策NPOの7年度分を取り消し

東京都庁と補助金書類、監査チェック表、切れた鎖を描いたAI生成イラスト

東京都は8月24日、自殺対策に関する民間団体向け補助事業で虚偽の実績などに基づく申請があったとして、NPO法人「再チャレンジ東京」への補助金交付決定を取り消したと発表した。対象は2018年度から2024年度までの申請で、当初交付決定額と取消額は4893万9000円、すでに交付した額と返還請求額は3779万3000円。都の公表資料によると、同法人は2025年10月29日に解散している。

1. 東京都が公表した内容

東京都は、地域の特性に応じた自殺対策を支援する「地域自殺対策強化補助事業」と、2020年度から2023年度に実施した「新型コロナウイルス感染症自殺防止対策事業」で、交付決定の取り消しと返還請求を行った。

2018年度から2023年度までの申請分については、「偽りその他不正の手段により補助金の交付を受けたこと」と、帳簿や証拠書類の整理・保管など交付条件への違反を理由に挙げた。2024年度分については、交付条件への違反を理由としている。

都は不正事案について新宿警察署に情報提供し、今後も連携するとしている。ただし、公表資料は刑事責任の有無や捜査の進展を示したものではない。

2. 「3779万円」は返還請求額

注意したいのは、3779万3000円が「返還請求額」であるという点だ。東京都の発表時点で、返還が完了したか、どの程度回収できる見通しかは明らかにされていない。したがって、現段階で「全額が戻らない」と断定することはできない。

一方、交付先の法人はすでに解散している。一般に、解散した法人への債権回収には残余財産や清算手続きなどの確認が必要になる。今後は、東京都が返還請求をどのように進め、回収状況をどこまで公表するかが焦点となる。

3. 7年度分に及んだことの意味

今回の取消対象は2018年度から2024年度までの7年度分に及ぶ。補助金は、申請、交付決定、事業実施、実績報告、額の確定という手続きを経る。書類だけでなく、事業の実施状況や証拠書類の真正性をどのように確認するかが、再発防止の中心課題になる。

ただし、東京都の公表資料だけでは、不正がいつ、どの確認で把握されたのか、各年度にどのような審査が行われたのかまでは分からない。監査体制の評価には、今後示される調査結果や再発防止策を待つ必要がある。

4. NPO全体の問題と混同しない

一つの団体に対する措置を、NPO全体への評価に広げるべきではない。自殺対策では、行政だけでは届きにくい相談や地域支援を民間団体が担っている。求められるのは団体一般への不信ではなく、公金を扱う制度として確認手続きを改善することだ。

具体的には、リスクに応じた現地確認、証拠書類の照合、複数年度にわたる申請内容の比較、交付先の法人情報の定期確認などが検討課題になる。東京都が今後どのような再発防止策を示すかを見たい。

5. 今後の確認点

  • 3779万3000円の返還・回収状況
  • 東京都による調査結果と審査体制の見直し
  • 新宿警察署への情報提供後の対応
  • 同種の補助事業に対する追加点検の有無

公表された事実と、今後の調査で明らかになる事項を分けて追う必要がある。

なお、本稿は補助金制度の運用を論じたものである。心身の不調や強い苦しさを感じている場合は、一人で抱え込まず、公的な相談窓口や身近な人に相談してほしい。

[文・構成=編集長 麻生矩暉]

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