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外国法人等の農地取得222ヘクタール 国内居住者の区分と累計の開始年を読む

境界の目印と耕作地を描いた農地管理の概念イラスト

外国法人等による2025年の農地取得は222.03ヘクタールだった。農林水産省が2026年9月15日に公表した調査で、住宅や山林を含む日本の土地全体の所有割合ではない。さらに、調査上の外国法人等には国内に住む外国人と、その人が一定の議決権を持つ法人なども入る。222という面積を海外からの買収とひとまとめにすれば、中身を取り違える。取得者の区分、累計の開始年、農地の手続を分けて、どこまで数字で説明できるかを確かめたい。

1. 222.03ヘクタールを四つの区分に戻す

農林水産省の2025年調査結果を基に作成。累計は開始年が異なる公表値の合計で、現在の保有残高ではない。

調査上の区分2025年の取得面積公表累計累計の開始年
外国法人・海外居住外国人0.03ha0.13ha2017年
上記の者が主要株主等・理事等となる法人1.03ha73.44ha2017年
国内居住外国人95.74ha394.46ha2022年
国内居住外国人が主要株主等・理事等となる法人125.23ha263.14ha2022年
合計222.03ha731.17ha区分で異なる

2025年の四区分を足すと0.03+1.03+95.74+125.23=222.03となる。国内居住外国人とその関係法人の二区分は220.97ヘクタールで、合計の約99.5%である。海外関係の二区分は1.06ヘクタール、約0.5%となる。小数第1位までの丸めであり、公表面積を使った編集部計算だ。

ただし、約99.5%を国内居住外国人個人が買った割合とは言えない。個人の95.74だけなら222.03に対して約43.1%で、残りには法人の区分がある。また、取得には後述の相続も含まれる。数字が大半を示すときほど、個人、法人、買入れという別々の言葉を混ぜないほうがよい。

2. 主要株主という名前は、経営支配の証明ではない

調査でいう主要株主等は、総株主の議決権の5%以上、または出資総額の5%以上という定義である。理事等も対象に入る。旧稿が法人の支配関係を確認する調査と説明した点は広すぎた。この入口に該当することと、外国の関係者が会社を経営上支配していることは同じではない。

例えば、一人が議決権を5%持つという条件だけでは、残り95%の持ち方も、経営の決定権も分からない。これは定義を理解するための設定例で、今回の企業の実際の株主構成を再現したものではない。取締役に一人が入る場合も、そこで会社全体の意思決定を一人に帰属させることはできない。

外国法人は、設立時に準拠した法令の国・地域が日本以外である法人と定義される。国内法人でも外国人の議決権や役員との関係で別区分に入るため、外国法人という狭い区分と、外国法人等という調査全体の呼び方には幅がある。海外資本の規模や最終的な受益者を論じるなら、この分類だけで答えたつもりにならない。

3. 累計731.17ヘクタールは、同じ九年間の合計ではない

公表表の注記では、国内居住外国人関係の二区分は2022年からの累計である。海外関係の二区分が2017年からであっても、全てを2017~2025年の九年分として扱うことはできない。開始年の違いは、表の脚注として省いてよい小さな条件ではない。

731.17を九で割れば算術上は約81.24ヘクタールとなるが、それを同一定義の年間取得平均と呼ぶのは不適切だ。二つの区分には2017~2021年の取得がこの累計として計上されていない。記録のない年を取得ゼロと埋めることにもなる。

国内関係二区分の累計は394.46+263.14=657.60ヘクタールである。しかし、この数字と海外関係の累計を比べても、同じ期間の大小とは限らない。期間をそろえて比較するには、各年・各区分の値を取り出し、定義の変更を確認してから足し直す作業が必要になる。

年ごとの伸びも、全体の合計だけでは理由が分からない。新たに調査対象へ加わった区分、相続、大きな一件の取得などで動く可能性を分けて確認したい。本稿は前年の全区分を同じ条件で再集計していないため、前年比や規制の成功・失敗は判定しない。

4. 取得の累計と、現在の保有・管理は別の記録である

累計は、過去に集計された取得を積み上げたものだ。売却やその後の変更を差し引いた現在の残高ではない。公表には、海外関係法人の累計73.44ヘクタールのうち5.3ヘクタールを日本法人の第三者へ売り渡したとの注記もある。取得と現在の保有が一致しないことは、資料自体からも分かる。

だからといって731.17から5.3だけを引けば現在保有の総量が得られるわけではない。他の取得後の移動を全件把握した表ではなく、管理が変わった記載も所有移転と同じ意味とは限らない。分かっている移動を一つ差し引いて、残りを最新残高と呼ぶことは避けたい。

222.03ヘクタールは2.2203平方キロメートルに換算できる。一つにまとめれば理解しやすいが、実際は複数の地域・取得者の面積である。連続した一団の土地という印象を与える図にも注意が要る。取得面積から収穫量や雇用人数、周辺の地価への影響を計算するには、利用状況や生産条件の情報が足りない。

5. 全てが買入れや同じ許可手続ではない

調査は農業委員会を通じ、農地法の申請・許可書、相続等の届出、農地中間管理事業の計画等を基に行われる。海外居住外国人の0.03ヘクタールは相続と記載されている。取得を全て外国からの投資購入と呼んだり、全部が同じ事前審査を通ったと言ったりする説明にはしない。

農水省の制度案内では、農地の売買・貸借は原則として農業委員会の許可を受ける方法などが示され、相続では農業委員会への届出が必要と説明する。さらに、所有する土地でも農地を住宅や駐車場などへ転用することには原則として別の許可が必要になる。取得、届出、転用を同じ手続として扱わない。

同省は今回の発表で、全ての農地の効率的利用などの許可要件があるため投資目的の取得はできないと説明している。ただし、その説明を取得後の適正利用が全件保証されたという結論へ伸ばすことはできない。制度の要件、実際に行われた手続、その後の利用確認は、検証の段階が違う。

個別の取得や貸借の可否は、土地の状態、取得方法、法人の要件などに応じ、所在地の農業委員会等へ確認する必要がある。本稿の集計は、特定の取得者に違法性があるとの認定でも、一般の土地投資についての助言でもない。

独自の視点――面積の増減より、取得と利用をつなぐ記録を見る

編集部は、土地の議論を取得者の属性だけで完結させず、取得時点と利用の継続をつなぐことに焦点を置きたい。今回の表が示す属性は、国籍や居住地、一定の株主・役員関係である。一方、地域農業で知りたいのは、誰が耕作し、どんな条件で管理を続けられるかである。前者の数字が分かっても、後者の成果まで測れたわけではない。

例えば、取得年、地域、取得の手続、作目、翌年の耕作状況を同じ区画の記録として追えれば、面積が増えたことと農地が維持されたことを分けて評価できる。公開する際は個人情報にも配慮し、全国合計だけでなく、地域の利用継続を確認できる集計の形を考えたい。これは編集部の検証案で、その追跡結果が今回公表されたという意味ではない。

約99.5%が国内居住者関係という計算も、それだけで安心や危険を決める数字ではない。議決権5%という入口を支配と誤認せず、累計を残高にせず、制度の存在を実際の維持に読み替えない。この三つを守って初めて、農地取得のニュースを、地域で農業を続ける条件の議論へ進められる。

訂正・補足(2026年10月10日):累計731.17ヘクタールは全区分が2017年開始ではなく、国内居住外国人関係の二区分は2022年開始である。「支配関係を確認」とする旧説明を、議決権等5%以上や理事等という調査定義へ修正。取得には相続も含まれることを補った。本文改稿後も残っていた別の土地・建物所有調査に関するSEO欄を本記事に合わせた。出典の後ろの定型文は削除し、最終本文節を独自の視点に統一した。

[文・構成=編集長 麻生 矩暉]

出典とメモ

  • 農林水産省:外国法人等による農地取得に関する調査の結果(2026年9月15日)。方法、四区分、議決権等5%の定義、2025年面積、累計の開始年、相続・売渡しの注記を確認。比較表は本資料を基に作成。220.97/222.03、1.06/222.03、95.74/222.03、四区分の加算、面積換算は編集部計算。九で割った81.24は不適切な平均を示すための算術で、実績平均や予測ではない。
  • 農水省:農地をめぐる事情について。売買・貸借の許可と農地中間管理事業の計画、相続等の届出の案内を確認。個別許可基準の全条文を検証したものではない。
  • 農水省:農地相続ポータル。農業委員会への届出、売買・貸借、転用の一般的な案内を確認。登記期限・税制の個別説明は本稿の対象外。
  • 現在の全保有残高、全件の売却・管理変更、株主の最終的な受益者、実際の耕作・生産・地域経済への効果、同一定義での前年比、個別取得の適法性は未確認。2022年取得分の旧公表URLは取得失敗のため独立した裏付けとして採用せず、累計開始年は現公表の注記で確認した。取得と利用を対応させる追跡案は編集部の分析である。