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同じ30%でも対象が違う イタリアの学校規制、通達から新しい法令へ

学校の廊下と教室、壁に重なる色の円を描いたAI生成イラスト

イタリアの学校で外国籍の児童・生徒を原則30%までとする考え方は、2010年の教育省通達にすでにあった。しかし、同じ30%でも、誰を数え、いつの入学に適用するかが違えば別の制度である。9月20日のメローニ首相の表明を扱った旧稿から状況は進み、9月30日付の緊急法律命令第170号が公表された。本稿は10月10日に確認した官報の原始条文と過去の教育当局の資料を分け、新しい規定と運用上の問いを読み直す。

1. 2010年の30%は、例外を含む編成基準だった

1月8日付の教育省通達第2号は、非イタリア国籍の子どもの割合を各クラスで通常30%以内とし、2010年度から初年度クラスなどに段階的に導入する方針を示す。語学力が十分な子どもがいる場合には地域教育当局が上限を引き上げ、不十分な場合などには引き下げる余地も明記していた。

これは、国籍だけを見て機械的に受け入れを止める説明ではない。通達は保護者への入学制限ではなく、地域の学校配置や学級運営の組織的な基準だと位置づける。旧稿の「誰を数えるかに答えなかった」という評価も、語学力による調整を読み落としていた。

行政上の文書だから守らなくてもよい、罰則がなければ実効性がない、と一括りにはできない。文書の法的な形式、学校に求める行為、例外の判断手続き、実際の運用は分けて読む必要がある。旧稿は通達を単なる事務連絡と説明し、法令化すれば裁量が全てなくなるとも断定した。その説明を改める。

2. 例外の許可は、基準を無視した証拠ではない

エミリアロマーニャ州の教育当局の2018年度資料は、通達第2号に基づく30%超の例外申請と許可を集計している。地域限定の過去資料であり、全国の実施状況を表すものではない。ただ、例外を申請して判断する手続きがあったことは確認できる。

許可された例外と、基準を勝手に無視することは異なる。上限を超えたクラスがあるという一つの事実だけでは、通達が機能していないとは言えない。条件に沿った例外なのか、違反なのか、別の集計なのかを確かめる必要がある。旧稿の「16年間、紙の上だけにあった」という全国一律の断定は、この資料とも整合しないため撤回する。

同時に、例外の記録があることから成功した政策と評価することもできない。本稿は全国の学校の配置、学習成果、子どもの移動負担を調べていない。運用の存在を確かめる資料と、その効果を測る資料は別物である。例外が多いか少ないかという評価にも、地域の入学状況と判断理由が要る。

3. 公表、施行、学年への適用を分ける

官報は緊急法律命令第170号を9月30日に掲載し、翌10月1日を施行日とする。第15条には議会での法律への転換に付すことも記されている。本稿は公表された原始条文を確認したもので、今後の議会審議で一切変わらない制度と扱うものではない。

注意したいのは、施行日とクラス編成への適用年度が同じではないことだ。第13条1項の新しい初年度クラスの編成は2027/28年度からである。一方、同条3項は初年度クラスへの年度途中の入学、上級学年への年度当初や途中の入学について2026/27年度からの規定を置く。「来年度から」の一言では、この違いが消える。

教育省通達第2号と官報の第170号・第13条、第15条を基に作成。年表は法的な段階を比較したもので、学校での実施結果を示す図ではない。

確認する段階公表資料で確認した内容区別する点
2010年1月8日通達第2号の30%と調整手続き行政基準と運用実績は別
2026年9月30日/10月1日第170号の公表/施行施行と全学年の一斉再編は別
2026/27年度第13条3項の途中入学など入学の時期・学年を確認
2027/28年度第13条1項の初年度クラス編成編成の適用年度を確認

9月20日の発言時点に条文が未公表だったという旧稿の注意は、当時の記録として残す。しかし現在の記事を、定義も数字も未確定のまま読ませることはできない。発言を追う記事にも、後に公表された条文を確認して更新する責任がある。

4. 国籍の割合と、規定が数える子どもの割合

政府の説明では、小学校は非イタリア国籍で、イタリア生まれではない、または幼児教育を少なくとも2年間受けていない子どもを30%の算定対象とする。中等教育では、非イタリア国籍で、国内の学校制度に少なくとも3年間、良好に通学していない生徒を対象とする。外国籍の子ども全員を一律に数える制度という説明では足りない。

割合の分母は各初年度クラスの総人数である。分子は、外国籍というだけでなく、それぞれの教育段階で定めた条件に当たる人数である。この二つを分ければ、国籍の構成比と、この規定に使う構成比が一致するとは限らないことが分かる。

再計算の形は「該当する児童・生徒数÷クラスの総人数×100」である。ただし本稿は実際のクラスの名簿を取得していない。人数を仮に置いて学校の違反を認定したり、出身地だけから子どもの語学力を推定したりはしない。学歴や出生地という制度上の条件と、本人の現在の学習状況を同一視することも避けたい。

2010年と2026年を比較するときも、同じ30%だから厳しさが同じ、あるいは違う、と直ちに判断できない。対象となる人、学年、例外、地域の配置まで確認して初めて比較になる。旧稿のデンマーク50%との比較は、対象・現行制度・運用をそろえた確認ができていないため削除した。欧州初との断定も維持しない。

5. 教室を移せば、学ぶ機会も保たれるのか

第13条は、近隣校への調整で居住地への近さなどを考慮し、教育を受ける権利を実際に保障するための地域連携も求める。新制度が、数字を超えた子どもを教育から除くという説明ではない。学校が上限に達したとき、その後の受け入れ先と支援を合わせて追う必要がある。

例えば、家庭が近所の学校への入学を希望し、別の学校への調整を受ける場面を考える。これは実在の家庭を取材した話ではなく、編集部の設定例である。形式上の入学先が決まっても、通学できるか、兄弟の送迎と両立するか、言語面の支援が継続するかは別の問いとして残る。

イタリア憲法34条は、学校を全ての人に開く原則を置く。その原則を踏まえることと、今回の規定の違憲・合憲を本稿が判定することは異なる。配置後の学習の機会が守られたかを検証する必要性を指摘するにとどめる。学校が受け入れ先を案内したという手続きの記録だけで、家族の負担や教育成果まで測ったことにはならない。

6. 顔の認識、保護者の学習、学級編成は別の規定

第12条の顔を覆う規制は、学校活動で顔を認識できない状態を対象にし、証明された健康上の事情や教育活動に伴う事情には例外を置く。ブルカ、ニカブという報道の見出しから、全ての宗教的な衣服を一律に禁止すると広げてはならない。

保護者の語学学習も、全外国籍の親に自動的に同じ義務を課す説明ではない。継続する言語上の障壁が学校との関係などを妨げる場合の連絡と、家庭事情を評価する支援の手順がある。無料の学習経路、免除や正当な理由、正式な履行の催告と制裁の条件は分けて読むべきである。本稿は個別家庭への適用や処分の妥当性を判定しない。

独自の視点――上限の強さより、例外の先を追う

編集部は、この政策を「30%を守らせたか」だけで採点することに限界があると考える。旧通達には例外の判断があり、新しい規定にも地域での配置と教育の保障がある。数字の線を引くことと、そこから外れる事情を持つ子どもが学び続けられることは、別々に確認すべき成果だからである。

これは制度を比較して導く編集部の分析であり、効果が証明されたという主張ではない。追う順番は、対象の定義、適用される入学、配置先、支援の継続、学習結果である。編成後の比率だけが改善しても、移動先の支援が途切れたなら、統合という目的まで達成したとは言えない。逆に、許可された例外を直ちに政策の失敗と呼ぶこともできない。

学校の教室には、同じ国籍でも学んできた期間の違う子どもがいる。行政の分類を本人の能力や家庭の姿に置き換えず、規定の境界から生じる具体的な負担を見る。数値の上限より、その後の行き先と支援が見える記事にすることが、この話題を追う意味である。

訂正・更新(2026年10月10日):旧稿は9月20日時点で条文・算定方法が未公表と記していた。その後の9月30日付第170号の公表と10月1日の施行を反映し、学級編成と途中入学などの適用年度を分けた。「16年間適用されなかった」「通達は守らなくてもよい」という断定を撤回。対象を全外国籍の子どもとする説明、未突合の他国比較・欧州初の断定を削除した。全国の運用実績、教育成果、個別家庭への適用、最終的な司法判断は未確認である。

[文・構成=編集長 麻生 矩暉]

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