JB News

政治・経済・海外情勢の深層を読み解くニュースメディア

レッドブルは1%、リポビタンDは10% 同じ栄養ドリンクを分ける「食品かどうか」

無銘の飲料缶と褐色の栄養ドリンク瓶を並べた概念イラスト。食品と医薬部外品の区分を表し、実際の商品や効能を示す写真ではない。

2027年4月から2年間、飲食料品の消費税率を8%から1%へ引き下げる改正案が示されている。国税庁の9月15日公表資料は、国会の審議を経て法案が可決・成立した場合の内容だと明記する。成立済みの制度ではない。案の対象範囲を当てはめると、食品として販売されるレッドブルは1%、指定医薬部外品のリポビタンDは10%という差が生じる。分けているのは効き目でも価格でもなく、法律上の区分である。

なぜ同じ栄養ドリンクで税率が変わるのか

現行の軽減税率と改正案が対象とする飲食料品は、食品表示法の食品を基本とする。酒類は含まれず、外食も対象外である。ケータリングは原則として対象外だが、学校給食や一定の有料老人ホーム等での食事の提供には例外がある。「ケータリングはすべて除かれる」という説明では正確でない。国税庁のパンフレット2頁は、案の対象となる飲食料品の範囲が、現行8%の対象範囲と同じだと説明している。

大正製薬の製品情報では、リポビタンDは指定医薬部外品とされる。国税庁の現行軽減税率Q&A・個別事例編の問23も、医薬部外品の栄養ドリンクは対象外だと明示する。売っている場所がコンビニでも、この区分は食品へ変わらない。現行では10%、案が同じ対象範囲で成立した場合も10%である。販売場所だけで医薬部外品の制度全体を定義する説明は避ける。

この区分の差は、見た目や販売場所ではなく、商品の法的位置付けによる。リポビタンDに現行10%が適用されることと、将来の改正が確定したことは別である。2027年4月以降についても、本稿の10%という説明は、案が示された内容と対象範囲のまま成立・施行される場合の比較である。

一方、食品である清涼飲料水を通常の商品販売として買う場合は、現行の軽減税率8%が適用される。レッドブルとリポビタンDの区分差は従来の日本経済新聞の報道が扱った具体例である。ここでは、国税庁の一般的な対象範囲と、メーカーが示すリポビタンDの区分を別々に確認した。将来の1%はあくまで改正案の条件であり、同じ商品を店内で飲む取引まで一律に1%になるわけではない。

棚の並びも、瓶やボトルの大きさも、飲む場面もほとんど変わらない。それでも税率だけが分かれる。

1%と10%で、いくら違うのか

仮に税抜200円の栄養ドリンクを毎日1本、1年365本買うとする。税抜の合計は7万3,000円である。

いまの税率なら、食品扱いのものは8%で5,840円、指定医薬部外品は10%で7,300円。年間の差は1,460円にとどまる。

改正案がこの内容で成立・施行され、税抜価格と購入量が同じなら、食品扱いの税額は1%で730円、指定医薬部外品は10%で7,300円となる。差は6,570円である(編集部による条件計算)。税率差は2ポイントから9ポイントへ、同じ税抜金額に対する税額の差は4.5倍に広がる。しかし商品の価格全体が4.5倍になるわけではない。税率差と値札の価格差を混同してはならない。

ここで4.5倍になるのは、同じ税抜価格・数量を仮定した二つの区分の税額差である。値札全体の倍率でも、実在する二商品の実売価格差の予測でもない。税抜価格を維持するか、値引きや値上げがあるかによって、消費者が店頭で見る差は変わる。

「実質ゼロ」とはどういう意味か

「実質ゼロ」という政策上の説明は、税率を法律上0%にすることとは異なる。税率引下げと支援金を組み合わせる構想として説明されてきたが、国税庁の今回のパンフレットは主として税率と事業者の実務を扱う。給付の対象、金額、時期をこの資料だけから確定することはできない。旧稿で紹介した給付規模の具体額は、原本で期間・対象を確認できていないため撤回する。税額を計算できても、本人が受け取る給付額まで決まるわけではない。

レジで食品の税額がゼロになる案ではない。また、支援金は一人一人のレシートを集め、払った1%をそのまま返す制度だと確認されたわけでもない。「給付を受ける人には必ず差し引きゼロ」とも言えない。税率の条件と、本人に適用される給付の条件を分けなければ、家計の効果を見積もれないからである。

「実質ゼロ」という言葉は、税制の話と給付の話を足し合わせた結果を指している。この二つは制度としては別のものだ。

なぜ0%ではなく1%なのか

0%にしない理由を、還付を避けるためだと断定することはできない。売上げの税額から仕入れの税額を控除する一般課税では、売上税率が1%でも仕入税額の方が大きければ還付が生じる。国税庁のパンフレットは、まさにその場合を想定し、課税事業者への選択や簡易課税から一般課税への変更に関する特例を説明している。

パンフレット4頁は、仕入れが標準税率10%、売上げが1%になる食品販売事業者についても、一般課税で申告すれば還付を受けられる可能性を説明する。つまり1%なら還付がなくなるわけではなく、今回の案にも届出や計算方法の特例がある。「現在の仕組みをそのまま動かせるから1%を選んだ」と理由を補うことは、この資料だけからはできない。

また、課税取引に0%を適用することと、仕入税額控除を原則受けられない非課税取引にすることは同じでない。税率を残せば復元の手続きが必ず軽くなる、という従来の説明も、確認した公式資料に示された政策選択の理由ではない。資料で確認できるのは1%という案と期間、実務上の特例であり、「なぜその率を選んだか」は別に根拠を要する。

減る税収はいくらで、誰が埋めるのか

減税による税収減と、支援金として支出する額は別の項目である。旧稿の減収規模の具体額は、減税だけか給付を含むか、単年度か期間全体かを原本で確定できていないため撤回する。このパンフレットは財源内訳や給付の総額を確定する資料ではない。税率差だけから税収減を再現することもできない。課税対象となる消費額や価格・購入量の変化など、試算の条件が必要になる。

財源を評価するには、公式の試算と予算・法案の説明を照合し、国と地方、単年度と2年間、減収と歳出をそれぞれ分ける必要がある。過去の首相発言や歳出見直しの方針だけでは、現時点の財源がいくら確保されたかを確定できない。この点は今回確認できた範囲を超えるため、特定の補助金が削られるといった予測は置かない。

減収見込みを「配る金額」と呼ぶのは不正確である。税率の引下げは徴収する税額の減少であり、現金給付とは資金の流れが異なる。両者を一つの金額にまとめてしまうと、何に財源が必要なのかも見えなくなる。

私たちは、いつ何を確かめればいいのか

まず確かめるのは関連法案の審議・成立と、成立した条文が案と同じかである。次に適用開始日と取引の経過措置、給付の具体的条件を確認する。国税庁は改正案に基づく資料を公表しているが、その掲載を法案成立の証拠と読み替えない。買い物の比較と政策全体の評価を分ければ、変わった情報だけを追いやすい。

追加で確かめたいのは、給付の対象・金額、財源の内訳、そして案で示された2年間の期間が成立した条文でどう定められるかである。財源が既存歳出の削減だけで賄われるとは、この資料からは確認できない。開始時と終了時の税率・経過措置も、成立後の条文と案内で確かめる必要がある。

レッドブルとリポビタンDの9ポイントの差を計算しただけでは、給付条件、財源、終了後の取扱いという三つの問いには答えられない。ただ、税が何をどう分類しているかを、棚の前で目に見える形にしてくれる。制度の線引きは、たいてい条文の中ではなく、値札の上で気づくものである。

独自の視点――税率の比較を商品選びに広げない

国税庁の現行税率・改正案を基に作成した条件比較(価格は仮定)

比較条件(税抜200円)1本の税額税込価格365本の税額
現行の食品8%16円216円5,840円
改正案の食品1%2円202円730円
医薬部外品10%20円220円7,300円

計算は税抜200円×税率、年間税額はその結果×365である。食品が8%から1%になると、仮定の税込価格は216円から202円へ14円下がり、216円に対して約6.48%の減少となる。税率は7ポイント下がるが、税込価格が7%下がるという計算ではない。また10%との18円差は、異なる商品を同じ税抜価格に置いた説明で、実在商品の実売価格差ではない。値上げや値引きがあれば店頭の差は変わる。

この比較から編集部が重視するのは、税率変更と商品選択を分けることである。棚で似た商品を見つけたとき、最初に分類、次に容量をそろえた価格、最後に用途を確かめる。税だけの比較を健康上の選び方へ広げないことが、制度の境界を誤読しないための手順となる。

訂正・補足(2026年10月9日):国税庁の9月15日公表資料に合わせ、1%への引下げは法案成立を前提とする改正案だと明記した。1%でも還付が生じ得ること、ゼロ税率と非課税は異なること、ケータリングには例外があることを補った。4.5倍は仮定の税額差の倍率で、商品価格全体の倍率ではない。財源・給付規模の従来の報道値は正式決定として扱っていない。

補足(2026年10月17日):改正案を将来の確定事項のように述べた旧文を条件付きの説明へ修正した。4.5倍は仮定した税額差の倍率であり値札全体の倍率ではないことを統一した。1%でも還付が生じ得る説明と矛盾していた旧文、および財源が歳出削減に限られるように読める問いを改めた。さらに、原本で期間・対象を確定できない給付・減収規模の具体額を本文から撤回し、税率の条件計算と財政全体の試算を分けた。10月9日の訂正履歴と署名は保持した。

[文・構成=編集長 麻生 矩暉]

出典とメモ

対象範囲・適用期間・成立前の案であること・還付の取扱いは、国税庁・消費税率引下げ特設サイトと2026年9月パンフレット1〜4頁を照合した。医薬部外品の現行の扱いは軽減税率Q&A個別事例編・問23、リポビタンDの製品区分は大正製薬の製品情報を確認。比較表は同資料の税率を基に作成し、価格・数量を仮定した編集部の計算である。ゼロ税率と非課税の区別は国税庁「非課税と免税の違い」に示された仕入税額控除の扱いと照合した。商品の性質はレッドブルの国内向け製品案内および大正製薬の製品一覧も確認した。レッドブル側の製品案内は税率を判定する文書ではなく、税率の適用は国税庁の食品・医薬部外品の区分に基づく。給付規模・財源内訳の原本照合は未完了で、旧稿の具体額を撤回した。