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ココイチ深夜料金7%を読む 注文価格と深夜賃金25%は別の数字だ

夜の飲食店で、壁時計とカウンターのカレー皿を描いたAI生成イラスト

ココイチのカレーは、何を頼むかに加えて、何時に注文するかでも支払額が変わるようになった。壱番屋の8月28日発表は、2026年9月1日から22時~翌5時の店内飲食とテイクアウトに7%の深夜料金を導入するとしている。同じ時間帯には原則25%以上の深夜割増賃金が必要だ。ただし、時間が重なることと、7%が人件費をちょうど回収することは別の話である。

1. 時間帯の上乗せと、商品そのものの改定がある

公式発表の対象は、国内のカレーハウスCoCo壱番屋の店内飲食・テイクアウトの注文である。宅配を含む全注文が同じ扱いだとは記していない。実施時間は22時から翌5時、料率は7%だ。現行の公式メニューにもこの時間帯の注文への加算が明記されている。

同時に既存トッピング44種中12種を改定すると発表した。会社が示す改定幅は平均17%、税抜10~54円、税込11~60円である。これを全商品が17%上がる、毎回の支払額が17%増えると読み替えてはならない。頼む品目と数量によって、商品改定の影響は異なる。

壱番屋8月28日発表の別紙を基に作成。主な改定例の抜粋で、全対象商品の一覧ではない。一部店舗では価格が異なるとの注記がある。

別紙掲載の例税込の旧価格→新価格税込の差
ハーフスクランブルエッグ110円→121円11円
チキンカツ348円→396円48円
豚しゃぶ336円→396円60円

公式発表は原材料、包装資材、物流、人件費等の継続的な上昇を理由に挙げる。深夜料金だけを人件費、トッピングだけを材料費に対応させた費用配分表は示していない。会社の説明と、編集部がその理由をどう解釈するかを分ける必要がある。

2. 646円の7%と、実際の会計の違い

公式の肉類メニューは、ポークカレーを税込646円と表示する。ただし一部店舗ではメニューや価格が異なり、テイクアウトの価格も別と案内している。646円を全国の全形態の共通価格として使うことはできない。注文時には、その店舗で選んだ量・追加品・持ち帰り等の条件をそろえる必要がある。

単純に646円へ7%を掛けると、646×1.07=691.22円となる。旧稿が報道を基に示した691円は646円との差が45円で、45÷646×100=約6.966%だ。丸めた金額と料率の7%がわずかに違っても、直ちに料金ルールの矛盾にはならない。

ただし、今回の公式発表は円未満の処理、税込・税抜のどちらで加算するか、複数品の計算順を詳述していない。本稿は実際のレシートを取得しておらず、691円になる端数処理を確認したわけではない。691.22円は算術上の例として示し、実際の請求額や計算方法を断定しない。

商品改定と深夜加算が重なる点も重要だ。仮に通常料金1000円の注文に商品改定100円が加わり、その1100円全体へ7%を加算する設定なら、1100×1.07=1177円で、旧1000円からは17.7%増となる。これは理解のための設定例で、実際のココイチの特定注文や会計規則を再現したものではない。

3. 深夜賃金は、客が払う料金とは別の義務だ

厚生労働省の案内は、原則22時~翌5時に働かせた時間について通常の賃金の25%以上の割増が必要と説明する。所定のシフトがその時間帯に入っていても適用され、アルバイトだから除外されるわけではない。例えば通常時給1200円なら、深夜部分は少なくとも1500円となる。

通常の法定時間外労働と深夜が重なる場合は、原則25%+25%で50%以上の割増となる。法定休日と深夜の重複なら35%+25%で60%以上となるなど、深夜25%だけで全条件を説明できない。ここは一般的な案内で、個別の勤務制度や算定対象の賃金を判定するものではない。

重要なのは、賃金の支払義務を負う相手は使用者であり、商品を買う客ではないことだ。労働法の時間帯と深夜料金の時間帯は原則として重なるが、法律が飲食店に客向け7%料金を設定するよう命じているわけではない。旧稿の企業が独自に決めた区切りではないという説明は改める。価格への反映は会社が公表した営業上の選択である。

また、この賃金の義務は9月1日に初めて発生したのではない。深夜料金導入前にも、対象となる深夜労働には割増が必要だった。新料金で初めて増えた人件費を穴埋めしたと説明するなら、既存の深夜賃金、採用時給、勤務時間、人員配置の変化を別に調べなければならない。

4. 25%と7%を比べるには、分母をそろえる

25%は対象時間の賃金を基礎にした割増率で、7%は対象注文への料金率である。賃金と売上という違う分母を持つため、そのまま大小を比べても費用の回収状況は分からない。旧稿の人件費が売上の3割なら影響7.5%という式は、条件付きの例であって壱番屋の実態ではない。

編集部の設定例を基に作成。対象時間の基礎賃金に一律25%を加え、同じ基準の売上と比較する単純モデル。税・端数・客数変化・他の費用は除外し、実際の人件費率を示さない。

仮定の基礎賃金/同時間帯売上深夜割増25%による費用/売上料金率7%との関係
20%5%2ポイント小さい
28%7%同率になる
30%7.5%0.5ポイント大きい

式は基礎賃金の売上比率×0.25である。逆に0.07÷0.25=0.28なので、このモデルで二つが一致する基礎賃金比率は28%となる。会社が28%だから7%を選んだと推定する式ではない。従業員が全時間深夜に働くか、通常と深夜で何人配置するか、売上がどの時間に計上されるかも条件になる。

家賃などが一定でも、光熱費、配送、清掃、採用条件などが深夜に全く変わらないとは限らない。その他の費用の方が多いとも、料金の増分だけで全費用を回収できるとも、本稿で取得した資料からは言えない。料金率の由来を説明するには、店舗・時間帯別の収支資料が必要である。

5. 客数が変われば、7%増の売上にはならない

単価が7%高くなっても注文数が減れば、売上が同じだけ増えるとは限らない。商品構成、営業時間、通常価格が同じという単純な設定なら、新売上÷旧売上=1.07×注文数の比率である。売上が変わらない注文数の比率は1÷1.07=約93.46%で、約6.54%減に相当する。

これは売上だけの分岐点で、利益が同じになる客数ではない。客数が変われば食材使用や必要な勤務時間も変わり得るし、通常の時間へ注文が移る場合もある。税や端数を除いた設定計算を、実際の客離れの予測や導入成功の判定として使わないことが重要だ。

旧稿にあった深夜客数を増やしたいという会社の意図や、他社の追随が消費者の反応だけで決まるという説明は、今回確認した発表からは裏付けられない。導入時点では価格改定に伴う業績予想の修正はないと会社は記していたが、これは利益への影響がゼロと認定した結果でもない。

独自の視点――レシートと賃金を、一対一に結び付けない

編集部は、時間帯別価格の意味を同じ商品でも提供条件が違うと見えるようになった点に置く。だが、客の上乗せ45円をその時間に働く人へ渡った45円として説明するのは飛躍である。価格の増分、会社の収入、従業員の賃金は異なる記録であり、取得した資料には直接の対応関係がない。

検証するなら、まず同じ店舗の注文形態、商品と量、注文時刻をそろえた支払額を比較する。その次に、営業時間、深夜の注文数、通常時間への移動、採用・勤務条件の変化を見る。深夜に働く読者が利用時間を変えにくいという可能性は考えられるが、実際の利用者の属性や行動を調査したとは書かない。

時間帯で負担を分けることが公平かどうかも、料金率だけでは決められない。説明が注文前に分かるか、利用できる時間や代替店があるか、深夜サービスを維持できたかという別の問いがある。7%と25%の一致しない数字を無理につなぐより、客が負担する条件と働く人への義務をそれぞれ明確にする。その分離が、値上げのニュースを生活の実感へ近づける。

訂正・補足(2026年10月11日):壱番屋8月28日の公式発表を確認。時間帯の一致を会社の料金設定が法定であるかのように説明した部分、7%で25%の費用を回収できるという推定、上乗せ45円を人件費そのものとした説明、深夜客数増の意図を改めた。算術例と実会計の端数・税処理、地域・注文形態を区別。東京の外食5.0%等は更新型PDFを8月原表として再取得できず、物価上昇を人件費だけで説明する因果断定とともに本文から外した。店舗差と人件費試算が仮定であるという旧注意の趣旨を保持する。

[文・構成=編集長 麻生 矩暉]

出典とメモ

  • 壱番屋8月28日公式発表全2ページを視認。9月1日、国内・店内飲食/テイクアウト、22時~翌5時、7%、44種中12種・平均17%、税込11~60円、複数の費用上昇、業績予想修正なしを照合。別紙の主な改定例と店舗差を確認。価格表は同別紙を基に作成。平均の算出方法、全12種の個別対応と全店舗運用は未照合。
  • 公式肉類メニューで税込ポーク646円、深夜7%の注記、注文形態・店舗差を確認。公式トッピングの改定後表示と注記を確認。現行ページを全店舗・当時の全価格表とみなさない。691円は旧報道例で、今回実レシートと端数規則は未取得。
  • 厚労省・深夜割増Q&Aで原則22時~翌5時25%以上、所定シフト・アルバイトにも適用、時給1200→1500を確認。労働条件ルールで時間外等との重複を照合。個別賃金・勤務制度・法定例外の全判定は行わない。
  • 独自計算:646×1.07=691.22、45/646=6.965944%、設定例(1000+100)×1.07=1177。基礎賃金比20/28/30%×25%=売上比5/7/7.5%、7%/25%=28%。一定商品構成の売上中立注文比1/1.07=93.457944%、減少6.542056%は利益中立や実績ではない。人件費表は仮定を基に作成。税・端数・注文数・稼働時間・費用変化を含む実際の収支は未確認。
  • 旧参照の日経、ライブドア、更新型東京CPI資料、会社情報は参照履歴として保持。全旧本文、8月東京原表、実会計の計算順、時間帯別採算、社員賃金、客数と因果効果は未検証。2026年10月11日確認。独自の視点は編集部の条件付き計算と検証提案で、未実施の訪店・取材や利用者調査を装わない。